工作機械による金属加工において、加工精度のズレには以下のようにさまざまな要因があります。
● 工具の摩耗
● ワークの寸法精度
● 加工中のワークや工具の収縮・膨張
● ワークや工具のクランプ精度
など
それぞれに対し、工具の補正情報入力やクーラント・切削油による冷却と潤滑などのソリューションがあります。
しかし、ワーククランプ精度についてはどうでしょうか?
クランプの精度を監視するには、ワークを把持しているクランプシリンダの実際の位置を継続的に監視できなければなりません。
現在、クランプシリンダに使用されているセンシング技術は次のようなものがあります。
● 誘導型近接センサによる「点」での検出
● 作動油や空圧の監視
誘導型近接センサによる検出は、主に制御のためのクランプ確認なので監視ではないです。
作動油や空圧の監視は継続的な監視にはなりますが、あくまで間接的です。
また、油圧やエアで駆動するクランプシリンダに位置監視のセンサを統合することは、スペース的にも測定技術的にもかなり困難です。
しかし今回、お客様の希望でこの課題を解決する全く新しいソリューションを開発しました。
超音波式クランプ位置センサ BFD
このセンサは、クランプ位置センサの末端に取り付けることで、クランプシリンダのピストン位置を継続的に測定するセンサです。
BFDには次のような革新的技術が搭載されています。
● Ø 30 x 30.9 mmの小型サイズでクランプシリンダの末端に直接統合
● 作動油に超音波を伝搬させてピストン位置を測定
● 基準となる音波測定を毎回同時に行うことで、作動油の種類や粘性の状態によるズレを自動補正
BFDはクランシリンダの継続的な位置監視という、今までにない全く新しいアプリケーションを提案します。
そのため、次のようなメリットが期待できます。
● 作動油供給の障害
● ワークの鋳造不良
● 調整不要であらゆるワーククランプに対応
● ワークの挿入ミス
● ワークの変形
● 油圧ユニットの圧力変動
● スイング機構の障害
● シーリングの不良・劣化
特に、加工中のズレをいち早く検知することで、工作機械の加工区内で発生する事故を未然に防止することも期待できます。
注意すべき点は、BFDの超音波は作動油を伝搬することを前提に開発されています。
そのため、エアシリンダでの使用はできません。
また、使用する際は油圧ユニットからクランプシリンダまで、確実なエア抜きが求められます。
BFDはIO-Link対応です。
位置情報の他にも、クランプ/リリース/空クランプの制御信号として活用できるティーチング可能な3点のスイッチング信号を同時に出力します。
また、このIO-Linkデータと同時に、電流/電圧のアナログ信号も出力できます。
BFDのラインナップ
BFDは製品本体の仕様はそのまま、接続方式でタイプが分かれます。
M12コネクタ付きケーブルとM8コネクタ付きケーブル、そしてケーブルのみのタイプから選択できます。
BFDの選定や技術的なご質問がございましたら、ウェブサイト右下にあるチャットからお気軽にご相談ください。