工場の生産性を次のレベルに引き上げることを妨げているものとは何でしょうか?先日、インダストリー4.0とIIoTに関するプレゼンテーションを行っている中で、このような質問を受けました。
私が思うに、生産性を次のレベルに引き上げられない最大の要因は、データの不足です。具体的にはシステムやプロセスに関するデータです。
古来より、私たちは効率化を追い求めてきました。古代の人は仮で生き延びていくため、より効率的な方法を作り上げてきましたが、今日では不良品をゼロまたは最小限にするため、工場でより効率的に生産する方法を模索しています。工場の製造や日々の活動をリーンに運用するためのあらゆる手段を講じた後、私たちは予期せぬダウンタイムからすぐに復旧する方法を探しています。今後はダウンタイムを完全に防ぐための情報を求めていくでしょう。
ダウンタイムの原因はいくらでもあります。これらはほんの一例です。
- 労働力不足 ー コロナウイルスのパンデミックによって労働力が減少したことを、私たちは最近経験しているかもしれません。
- 原材料の入手
- 困難な交換部品の入手
- 資産不足
- 装置や部品の不良
リストの中にある最初の2つの理由は、このブログの範疇を超えており、率直に言ってFAの観点からややコントロールの範囲外でしょう。
次の2つの理由はプロセスに関連するもので、最後の1つのが私たちが選択すべきものです。これら3つの理由は、ある程度減らすこともなくすこともできます。
もし、ダウンタイムがプロセスに関連するものであれば、これらを学び、俗にいう「継続的な改善の取り組み」でプロセスを改善させることができます。これらの継続的な改善は、判断できる要因、つまりデータに基づいてでしかできないため、憶測に基づいてプロセスを改善することはできません。また、「できない」というよりは、「まぐれ」や「たまたま」という感じでしょうか。「計測できないことは、改善できない!」と言ったほうが正しいでしょうか。
私がお伝えしたいことを詳しく説明するための良い例は、工場内の多品種生産を行うための段取り替えです。すべての変更が正しい場所で行われ、変更すべき部品が正しく設置と交換が行われるための適切なプロセスがなければ、膨大な段取り替えの時間によって生産性の大きな損失となる可能性があります。次に、これらのプロセスがマニュアルで行われ、自動化されていない場合、これも生産性の損失につながります。場合によってはこのマニュアルによる段取り替えを事実として受け止め、これに必要な時間を「計画的な」ダウンタイムの一部として組み込んでしまうこともあります。段取り替えが年に1回であれば、今日の状況であっても、マニュアル作業を続けることは費用対効果が高いかもしれません。しかし、毎日または週に何回か、短期のロット生産がおこなわれている場合、段取り替えを自動化することで生産性を大幅に向上させることができます。費用便益分析によって、これが継続的な改善となるかを証明するのに役立つはずです。
資産は円滑な運用のための重要な方程式の一部です。例えば、プレス工場の金型や金属加工工場の切削工具などが挙げられます。工場がこれらの重要な資産の保管場所や外観、形状などの見える化・トレーサビリティができなければ、大きなダウンタイムにつながる可能性があります。これらのツールの補正データや生産数も、効率的な運用を維持するために必要となる重要なデータの一部です。繰り返しになりますが、これはシステムに関するデータであり、既存システムへのトレーサビリティ対策となります。
装置部品の故障は深刻なダウンタイムの原因となり、避けられないものと考えられています。私たちは、2つのステップで対応しています。まず最初に故障の原因を探し出し、次に部品を在庫から探し出し素早く交換することです。そして、プロセスの改善として、定期的に計画されたダウンタイムの中で、部品の点検、注油、交換を行う予防保全のスケジュールを立てています。
予防保全は通常、理論的な故障率に基づいてスケジューリングされます。これは、特にメカ部品の場合には有効的な手段です。しかし、予兆保全や状態監視に基づいたメンテナンスは、通常、生産性に対してより高いリターンをもたらし、工場のスムーズな運用に役立ちます。繰り返しになりますが、予兆保全はシステムや部品の状態に関するデータに依存しています。では、このデータはどこにあり、どのようにして取得するのでしょうか?
インタフェースの標準化も生産性を高める重要な要素です。次回のブログでは、技術としてのIO-Linkが、これらの課題を解決し、生産性を次のレベルに引き上げるのにどのように貢献するかをお伝えします。