装置の金型の摩耗や、メンテナンスされていなかったことによる予期しないダウンタイムはとても高額です。このことは。多くのお客様はすでにご存知でしょう。この問題を未然に防ぎ、射出成型用金型を最適に活用するため、スイスのチョコレート用金型を製造するメーカーが産業用RFIDの技術を活用した予防保全のシステムを導入しました。
RFIDによる頻繁な金型交換の管理を維持
複雑で高価な射出成型用金型は、一般的に部品の製造で使用されます。摩耗や汚れにより、定期的な清掃や手入れ、メンテナンスが要求されます。メンテナンスの間隔は、手書きによる管理台帳やポストイットによる記録、または作業者の経験によって決められます。先進的な企業では、データベースやエクセルシートでこの情報を記録しているかもしれません。しかしどのような方法であれ、経験上、手作業による記録はヒューマンエラーの発生に繋がりやすいです。また、メンテナンスや検査は金型の不具合が発見されてからの場合が多く、手遅れになりがちです。
注入タイプのチョコレート金型は、チョコレートの製造ラインで継続的な運用に用いられており、世界中でその完成度と耐久性は知られています。多くの場合、1,500 ~ 2,000個の比較的小ロット製造で用いられます。そのため、金型はモジュラー構造になっています。ベースには交換可能なインサートを備えたマスターの金型を置き、迅速で頻繁な金型の交換に適応します。そのため、マスターの金型を取り外す際には、ホースやケーブル、接続部品を交換するなど、必要なメンテナンスが増えてきます。これが、マスターの金型の使用回数を追跡することが特別重要になることの理由です。この問題を産業用RFIDシステム活用した制御システムで解決します。
専用機へのレトロフィットにも最適
RFIDのソリューションは射出成形用金型の追跡とその最適な利用を可能にします。そのカギの一つとなるRFIDタグは個々の金型に取り付けられます。市場の要求により、このコアとなるコンポーネンツはデータ容量やアンテナのタイプ、設置方法、その他の特徴など、豊富なモデルを取り揃えています。それぞれのタイプは産業環境で問題なく使用できるよう設計されています。実際の物理的なショット回数を計るため、ショットカウンタは装置の最適な位置に設置します。ショットカウンタは主に誘導型近接センサや光電センサが使用されます。それぞれのセンサの利点を次に示します。
光電センサ | 誘導型近接センサ | |
利点 |
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装置内に取付けられたRFIDアンテナは金型上のRFIDタグと通信します。CPUとソフトウェアを備えたRFIDプロセッサは制御盤の外へ設置できます。また、ゲートウェイとして会社のネットワークへ接続したり、IO-Link対応Smart Lightへ接続したりすることで、作業者へ次のメンテンナンス時期を基準とした現在の金型の状態を見える化します。さらに、次のメンテナンスまでのショット回数と、障害が発生する前までのショット回数の限界値をそれぞれの金型へ個別に設定することができます。
RFIDタグを活用することで、製造サイクルとそれに関する全てのデータを、ユニークな金型のIDと一緒に1つの金型へ直接紐付けることができます。データの読み出しには、モバイル端末も使用できます。これは、ハンディターミナルとシステムプロバイダが提供するアプリをインストールした、NFC(Near Field Communication)対応のAndorid製スマートフォンから選択できます。スマートフォンのアプリには、パスワードで設定できる項目を制限する機能が備わっています。
柔軟性の高いウェブサーバー機能
RFIDシステムへアクセスする方法として、ウェブサービスインタフェースがあります。これによりTCP/IPやWifiを介して、MESやERPなどの上位レベルのシステムへ統合することができます。そのため、すべての金型のデータを会社のネットワーク内で活用することができます。さらに、標準的なウェブブラウザからRFIDシステムと装置で使用されている金型へグローバルアクセスが可能です。
RFID (Radio Frequency Identification) システムの利点を次のようにまとめます::
- 短時間で簡単に導入できる自律型システム
- メーカー、年代、設備の場所に関係なくレトロフィットが可能
- 個々の金型へ関連する全てのデータを明確に割当て
- 金型ごとに限界値を個別に設定可能
- プラグ・アンド・プレイのソリューション
- 装置の制御システムへの干渉なし
- ウェブサービスインタフェースの導入可能
さらなるMold IDの詳細はwww.balluff.jpをご覧ください。