状態監視は複雑で、常に高い投資が求められると思われがちです。IO-Linkでは違います。どのように装置のコントローラから独立した状態監視のネットワークを簡単に構築するか、これがこのブログの目的です。つまり、「状態監視スターターキット」を手に入れる方法です。
状態監視とは?
あなたの製造ラインに基本的な状態監視システムを構築する方法を話す前に、状態監視とは何か、どのように機能するかを説明させてください。
定義
ドイツ語のオンライン辞書 Electronics Compendium には、状態監視について一般的に有効で理解しやすい定義が示されています:
「状態監視とは、プロセス状態の継続的な監視、または状態に応じたメンテナンスを意味します。継続的な記録・伝達と、装置やプロセスの状態の評価を目的とします。データは継続的に生成、処理、伝達されます。大規模な状態監視システム (CMS)では、要求に応じた帯域でデータはグローバルに伝達と統合されることが必要とされます。」
工場のメンテナンスについての文献はこちらから (英語)
大容量のデータ伝送は革新的なソリューションの課題です。この点について、ドイツでは今後数年の間にIIoT (Industrial Internet of Things: 産業のモノのインターネット) 向けた新たな5Gネットワークが整備されることになっており、これは非常に期待できます。私はワクワクしながらこの動向を見守っています。さて、話題をもとに戻して…
状態監視と従来の方式との違いは?
従来、工場や装置の定期点検が行われています。つまり、まだ必要なくても点検は行われています。逆に点検が必要なのに、工場の状態に関する知識が不足してるため実施されない場合もあります。これでは、長期的な発展も、短期的または一時的な出来事も記録できません。
一方、状態監視では状態情報を継続的かつリアルタイムに取得します。そのため、長期的または突発的、過渡的な状態の変化を記録でき、完璧なドキュメント化を可能にします。起こりうる障害を早期に発見でき、システムの障害が長引くことよりコストを削減できます。
状態監視の一般的なパラメータは、温度、振動、位置、液面、湿度、音です。
状態監視は恒久的に工場の状態を監視することで、稼働中でもメンテナンスできます。ダウンタイムを最小限にし、作業者の配置を的確に行えば、コストを著しく削減することができます。
オープンソース VS 専用ソフトウェア
CMSの導入には様々な方法があります。これには大きく分けて、システムやユーザーに紐付いた専用のソリューションとオープンソースのソリューションがあります。後者は異なるメーカーのハードやソフトを組み合わせることが可能です。オープンソースの利点は、将来性のあるコンセプトで、豊富なメーカーや部品の選択肢があり、ライセンス料が安価です。
標準規格の通信であるIO-Linkはオープンソースのソリューションをサポートします。IO-Linkを活用すれば、様々なプロセスデータをセンサレベルから制御レベルへ伝送できます。
センサによる見える化 - 状態監視スターターキットのコンポーネンツ
次に紹介するコンポーネンツで、産業のアプリケーションに対応した状態監視システムを簡単に構築する方法を示します。最も重要なコンポーネンツはIO-Linkゲートウェイで、これは装置のコントローラから独立した監視ネットワークの構築に使用できます。このデバイスにより現場の情報をあなたのゲートウェイへ届けることができるため、信頼ある状態監視が可能になります。さらに、インテリジェントなセンサを使用すれば、継続的な診断でより詳細な結果を得ることができます。
-
パワーサプライ
- IO-Linkインタフェースを備えたバルーフの高機能パワーサプライ Heartbeat®は稼働時間と負荷の状態を基に残りの寿命を算出し、制御システムへ報告します。この予兆対策を基に、パワーサプライが故障する前に交換を行うことができます。IO-Link経由で出力電圧や電流を読取ることができるため、システムに接続しているアクチュエータの状態をフィードバックできます。
- IO-Linkインタフェースを備えたバルーフの高機能パワーサプライ Heartbeat®は稼働時間と負荷の状態を基に残りの寿命を算出し、制御システムへ報告します。この予兆対策を基に、パワーサプライが故障する前に交換を行うことができます。IO-Link経由で出力電圧や電流を読取ることができるため、システムに接続しているアクチュエータの状態をフィードバックできます。
-
センサ
- 流量センサ: BFF0001を代表とする熱流量センサは、ポンプの性能劣化やフィルタの目詰まりを検出します。そのため、一定の限界値を超えたことを指標にフィルタの洗浄や交換の対策ができます。
- 圧力センサ: パイプのリーク検出により、媒体のロスを認知でき、最適なメンテナンスを行うことができます。
- 温度センサ: このセンサはモーターなどの温度を継続的に計測します。測定温度が仕様の動作温度から逸脱すれば、すぐに対策でき、装置のダウンタイムを防止します。
- センサの自己診断機能: 例えば、マルチファンクション光電センサ BOS 21M ADCAPの場合、動作状態の記録やデータの収集と処理を行い、IO-Linkを介してスイッチング信号以上のデータを届けます。内蔵の自己診断機能により、汚れやチョコ停を検出できます。
-
ネットワークモジュール
- IO-Linkゲートウェイなど、バルーフのPROFINETやEthernet/IP対応のネットワークモジュールは、現場レベルの信号を収集します。バルーフのネットワークモジュールに搭載されたウェブサーバー機能により、ネットワークに接続されたあらゆるPCから情報を見ることができます。
- IO-Linkゲートウェイなど、バルーフのPROFINETやEthernet/IP対応のネットワークモジュールは、現場レベルの信号を収集します。バルーフのネットワークモジュールに搭載されたウェブサーバー機能により、ネットワークに接続されたあらゆるPCから情報を見ることができます。
-
ゲートウェイ ー ハードウェア
- Raspberry Piなどのエッジ処理機器: 市販のRaspberry Piは評価ユニットからのデータを受信し、さらなる処理を行います。受信したデータは見える化され、ソフトウェアを用いてPC上に保存されます。
- ウィンドウズPC: WindowsのPCを接続することも可能です。エクセルのようなプログラムを用いてマイクロソフトに親和性のある環境を構築できます。
- サーバー(バーチャルマシン): 既存のサーバーをゲートウェイとして使用でき、ネットワーク全体にアクセスできます。
-
データの収集と見える化
- NodeRed (ソフトウェア): データ処理と見える化のプログラムが作れるウェブベースのプログラミングツールです。クラウドサービスやデータベース、ハードウェア、OPC/UA、その他たくさんのAPIで数多くのインタフェースに対応します。グラフィカルな開発ツールにより、個々のダッシュボードをモジュラー方式で構築できます。NodeRedはライセンス料のいらないオープンソースのソフトウェアです。NodeRedサーバーはRaspberry Piからでも起動できます。
- Microsoft Excel/Microsoft Power BI (ソフトウェア): 最も有名な表計算プログラムであるExcelで、簡単にダッシュボードを制作できます。Power QueryでIO-Linkゲートウェイへデータの受信/要求を行えます。その他にもPower BIで高機能なダッシュボードを設計することもできます。
-
LED積層信号灯(ハードウェア)
- バルーフのLED積層信号灯 スマートライトはIO-Link経由のパラメータ設定とその豊富な表示モードでプロセスの見える化に最適です。
- バルーフのLED積層信号灯 スマートライトはIO-Link経由のパラメータ設定とその豊富な表示モードでプロセスの見える化に最適です。
専用の状態監視アプリケーションの構築
状態監視を簡単に始められるよう、私たちは動画を用意しました。この動画では、IO-LinkデバイスとWindows PCを活用したMicrosoft Excelによる継続的な状態監視のセットアップ方法がご覧いただけます。プログラミングの知識は不要です。
あなたの企業に状態監視を導入する方法は?
既にお持ちの経験は?
ぜひ、あなたの意見や経験をコメントでお聞かせください。