バーコード技術は、資産や製品の追跡手段として長年に渡り利用されてきましたが、限界もあります。例えば、バーコードリーダーが確実にスキャンするためには、その視界内に遮るものがないことが条件になります。また、バーコードが印字されたラベルが破損していると、リーダーで読み取れなくなってしまう恐れがあります。
近年では、RFID技術が登場し、同様のタスクをより少ない制限で達成できるようになりました。RFIDを使用することで、タグが他の物体に遮られて肉眼では見えない状況でも、データを読み取ることができます。多くのバーコードは個別にスキャンする必要があるのに対し、UHF帯のRFIDであれば、1回のスキャンで複数のタグを同時に識別することができます。そのため、効率性が向上し、スキャン実行に必要な時間を大幅に短縮することができます。
そして、もちろん、人に関する要因にも効果があります。RFIDは、ヒューマンエラーによる障害を防止します。バーコードのスキャンは、作業者がマニュアルで行うことが多いです。なぜなら、バーコードが見える位置にリーダーを置かないと、うまくスキャンできないからです。RFIDの場合、ハンディターミナルを手にもってスキャンすることもできますが、ほとんどの場合、RFIDタグの位置が一定の領域内にあることが確保されていれば、固定式のRFIDアンテナを使用することができます。この範囲はバーコードスキャナに比べてはるかに広いです。
安価で消耗品として扱えるRFIDラベルの登場により、製造メーカーやエンドユーザーにとって、RFID技術への移行が容易になりました。このラベルは、数千枚のロール状で1枚当たり数十円で購入できます。
最近では、RFIDラベルにコードを書き込みながら、バーコードなどのデータをラベルに印刷するプリンターが数社から発売されており、これにより両方の利点を生かすことができます。また、タグを自動的に読み取ることができ、バーコードリーダーでスキャンできるデータを人の目で確認できるものもあります。
一部では、各国が定める電波干渉の規制により、RFIDの使用を懸念している企業もあります。
しかし、HFの周波数帯では問題になりません。HFはISO規格 (ISO 15693)の技術なので、ほぼどの国でも適応できます。UHF帯は、複数のタグを広範囲でスキャンするため、採用される可能性は高いのですが、注意点としては、国や地域ごとにアンテナが動作する周波数帯が定められていることです。しかし、今まで私が出会ったほとんどのUHFタグは、グローバルタグと呼ばれるものなので、こちらは課題が克服されていると言ってよいでしょう。
このグローバルタグは、世界中のUHFの周波数帯のいずれでも使用することができます。例えば、北米ではFCCがRFIDのUHF周波数帯範囲を902〜928MHzに制限しており、日本の総務省は952〜954MHz、欧州のETSI EN300-220は865〜868MHz、インドのDOTは865〜867MHzに制限しています。このグローバルタグは、860〜960MHzの周波数帯で動作するため、これらの周波数範囲でいずれも使用することができます。
UHFについては、世界各地で周波数帯が制限されていることに加え、アンテナの最大出力も地域によって制限されていることを留意してください。
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