この記事では、工具の識別やワークの追跡などの重要な役割をRFIDで行うための技術的な前提条件と、近代的な生産にとってのRFIDの存在意義について述べています。
RFID - 近代的の生産のキーテクノロジー
規格化されたツールホルダに埋め込まれたRFIDタグを利用したTool-IDアプリケーション
近代的な生産プロセスでは、可能な限り高度な自動化が必要とされます。投資後の長期間を見据えれば、コストの削減になります。また、手作業に比べて自動化の方が品質のバラツキが少なくなります。その一方、製造業界では多品種生産が増えてくるに連れ、製造設備の柔軟な活用が求められるようになってきました。これが実現すれば、例えば、顧客ごとのカスタムメイドサービスが提供できます。金属加工の製造プロセスでこれらの課題を満たすには、最先端の工作機械を自動制御し材料の流れを監視しなければなりません。そのためには、工場内を通過する製品の製造に必要な部品も含めたワークの経路や、金属加工プロセスで使用される工具へも適応しなけれなりません。リアルタイムの高速通信を提供するRFIDはこの要件に最適です。自動化されたシステムが生産と品質に関するデータを継続的に統合し記録することで、このデータをいつでも呼び出すことができます。
RFIDによるツール識別は、約30年前から工作機械に採用されてきました。1980年半ばには、誘導型近接センサの技術により電磁誘導による非接触のデータ伝送が可能となりました。信号は発振に合わせて変調します。この技術を活用し、初めてそれぞれの工具の仕様情報など、工具に関連するデータをツールホルダに埋め込まれたRFIDタグへ非接触で保存することができました。これにより、工具の明確な識別とマッチングが可能となりました。また、RFIDアンテナにより、工具データを工作機械内で読み取ったり、ツールプリセッタ上で読取り/書込みしたりすることができるようになりました。データのやり取りを自動化することにより、すべてのデータが常に正確で最新のものに更新されます。