インダストリー4.0時代の生産現場のデジタル化により、センサ / アクチュエータレベルからERPレベルまで、FAの階層のどのレベルからでも情報交換を可能にするニーズが増えています。センサはFAの目と耳であり、これなしでは階層を跨いだ情報交換は成り立ちません。これらはシステム内で実際に現場で実行する立場にあり、近代的な製造プロセスを導入するための基礎となる価値ある情報を提供します。これにより、スマートなメンテナンスと修理のコンセプトが実現し、不良品の製造を防止し、システムの稼働率を向上させます。
センサ自身もデジタル化します。機器や生産状況を正確に把握するため、デジタル化はリアルなデータを創出する豊富な機能を備えたインテリジェントなセンサを必要とします。そのため、FAの「目と耳」は従来までの機能を超える、さらなる情報の提供が求められます。寿命や負荷、障害の検出に加えて、温度や汚染などの環境情報やターゲットのアライメント品質なども要求されます。
この光電センサには様々な利点があります。スイッチング信号と共に、IO-Linkでセンサの状態や現在の環境状態などの価値ある情報を提供します。この汎用性高い赤色光のセンサは、拡散反射型、背景抑制型、回帰反射型、透過型の4つの動作原理を選択するとができます。これら4つは、全世界で使用されている光電センサの最も一般的な動作原理で、数え切れないほどの産業用アプリケーションでの採用実績があります。センサの動作原理はいつでもオン・ザ・フライで変更できるため、製造現場へさらなる柔軟性をもたらすことができます。検出の困難な物体であっても、検出条件を変更することにより常に確実な検出が可能です。また、在庫管理がシンプルになります。4種類のセンサに変えて、この1種類のセンサの在庫で済むからです。センサの交換も簡単でシンプルです。パラメータの設定はIO-Link経由でいつでもダウンロードとアップロードが可能です。煩雑なマニュアルによる設定が不要になるため、インテリジェントなセンサにはIO-Linkの活用が最適です。すべてのセンサの機能はIO-Link経由で設定できるため、コントローラからのリモートティーチングも可能になります。
新しい診断機能もインテリジェントなセンサのカギとなる特徴です。センサ内部で生成されたこの追加のセンサデータにより、インテリジェントなメンテナンスコンセプトを実現し、システムの稼働率を向上させます。稼働時間カウンタは予知保全の重要な補完情報として活用できます。
光量の診断は様々なアプリケーションでとても役に立ちます。例えば、周辺の環境によりセンサが汚れてきたなど判断できます。これらの情報はIO-Linkのデータ上に存在し、傾向解析の生データとして活用できます。自動車用タイヤ製造に良い事例があります。センサの汚れによりグリーンタイヤの搬送ラインが突然停止すると、タイヤ同士がぶつかってしまい、まだ柔らかいグリーンタイヤは変形し高価な不良品となってしまいます。また、搬送ラインを元に戻すまで製造のダウンタイムが発生し、最悪の場合、目標とする生産数を達成できなくなります。このようなケースの場合、有効な診断情報を提供するスマートセンサであっという間に解決できます。光量の情報により、現場の作業者はセンサの汚れ度合いを把握でき、コストの掛かる生産の停止が発生する前に清掃の対策を講じることができます。
同様に、受光量によりセンサ信号の品質を継続的に監視することができます。遅かれ早かれ、装置は振動やその他の外部からの影響を受け、徐々にメカ的な位置ズレが発生します。時間の経過とともに信号の品質が低下し、それに伴い検出の精度と信頼性が落ちてきます。従来までは、この少しずつの変化を認識する方法も、評価する方法もありませんでした。センサにしきい値を設定すれば、受光量が十分でないことを把握できます。しかし、生データから傾向を導き出し、検出の確実性を定量的かつ定性的に評価することはできません。
これが運用の安全性に関わってくると、インテリジェントなセンサへの要求が高まりました。この光電センサは投光用LEDの出力を直接監視することができます。これにより、LEDの劣化による危険な動作状態を察知することができ、早期に対応することができます。同様に内部温度や供給電圧も監視することができます。どちらのパラメータも故障のリスクとなるセンサの負荷に関する重要な情報です。
自動化が進むに連れ、工場のシステムにはたくさんのセンサやデバイスが使用されます。これに伴い、フィールドバスのノードやコントローラで管理しなければならないデータ量も増加しています。これに対し、インテリジェントなセンサはフィールドバスのデータトラフィックを削減しながら、ホストコントローラの負荷を削減する大きな可能性を持ちます。センサ内で行われる検出信号のエッジ処理により顕著な改善が見られます。自由に設定できるカウンタ機能により、様々なアプリケーションに対応したカウンタ方式とリセット設定を活用できます。カウンタ信号はセンサ内で直接評価されるため、コントローラへ送る必要はありません。その代わり、予め設定したリミット値に到達すると、ステータス信号を出力します。すべてはセンサ内で行われるため、IO-Linkデータの転送速度に関わらず高速なプロセスの運用が可能です。
インダストリー4.0とIoTの時代、インテリジェントなセンサの重要性が増しています。これらのセンサはエンドユーザーからの需要が高いです。なぜなら、その機能は彼らの設備や機器に従来までと比べ物にならないほどの柔軟性をもたらすことができるからです。同時に、ダウンタイムや生産性を低下を防ぐことは最も重要な利点となります。インテリジェントなセンサによって、インテリジェントな生産システムを構築でき、これらのセンサが提供するデータによってインテリジェントな制御ができます。すべてのインテリジェントなデバイスとの相互作用により、工場内すべての装置をより効率的に使用することができ、既存のリソースをより有効活用できます。インダストリー4.0とIoTの広がりによって、データのプロバイダとしてのインテリジェントなセンサに対する要求は今後も大きくなっていくでしょう。将来的には、インテリジェントなセンサは、近代的な自己制御システムの呼吸的かつ必要不可欠なコンポーネンツとなり、すべてのセンサポートフォリオにおいて確固たる地位を占めることになるでしょう。
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