RFIDは無線通信を用いたシステムのため、使用する周波数帯がそのシステム特性に大きく関わってきます。周波数帯には大きく分けてLF 帯(低周波数帯)、HF帯(高周波数帯)、UHF帯(超高周波数帯)の3つに分けられます。今回は、この周波数の特性と最適なアプリケーションについてご紹介します。
RFIDとは
RFIDは、Radio Frequency Identification Systemの略で、言葉の通り無線でモノを識別するシステムを指します。RFIDタグと呼ばれるメモリに必要な情報を格納し、RFIDアンテナで必要に応じて、情報を読み取り/書き込みを行います。すでに市場で認知されているシステムで、アパレル店や倉庫、電子マネーなど使用されています。同じ識別システムとして使用されるバーコードや2次元コードと違い、データの書き込みや更新ができ、ホコリや汚れによる光学的影響を受けないことが特徴です。
LF帯
LF帯のRFIDシステムの周波数帯は一般的に135kHzまでとされています。アンテナとタグは1対1で通信します。この周波数帯の大きな特徴は、周辺金属の影響を受けにくく、安定した通信を行うことが挙げられます。そのため、工作機械用工具を識別するTool IDシステムでは、この周波数帯が現在でもスタンダードとなっています。デメリットとしては、通信速度が遅く、通信距離も長くて100mm程度です。そのため、読み取りだけのシステムで使用されることもあります。また、標準化されていないため、メーカーによって様々な周波数帯が存在します。そのため、Tool IDのような特定のアプリケーション以外ではあまり使用されることが多くありません。
HF帯
多くのHF帯のRFIDシステムは13.56MHzの周波数帯が一般的です。アンテナとタグは1対1で通信します。通信速度が速いため、移動しながらの通信や大容量のデータ更新に最適です。しかし、LF帯のシステムに比べて周辺金属の影響を受けやすいため、設置環境が制限されてしまいます。また、通信距離も最大で数百ミリ、一般的には数ミリから数十ミリ程度の近接通信になります。このシステムは、製造工程全体で製造手順や各工程のプロセスデータを収集するようなトレーサビリティのアプリケーションで採用されることが多く、そのため、様々な形状や耐環境性に特化したタイプが多く市場にあります。
UHF帯
UHFの周波数帯は860~960MHzですが、各国や地域により使用できる周波数帯が定められおり、その周波数帯に適合したシステムを選択しなければなりません。このシステムの大きな特徴は、1つのアンテナで複数のタグを一括して識別できることです。また、通信距離も数メートルと広範囲にわたります。メモリ容量は512bitと少量ですが、タグ自身が安価なため、バーコードを同じように製品へ付けたまま市場へ出荷する場合が多いです。そのため、製品の出荷や部品の入荷、最近ではアパレル店のセルフレジで採用される事例が多くなりました。しかし、金属や水など周辺環境からの影響を非常に受けやすいシステムであるため、長距離通信を前提にシステムを採用すると、実環境で安定して動作しないことがあります。複数のタグを一括しての識別を前提に、できるだけ狭い範囲かつ、動かしながらの検出ができるアプリケーションでのシステム構成が推奨されます。
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